空行2018




Introduction



その街は炭鉱であった。
大きな何かは判らない荘厳な塔のような機械のような古びた建物。
石灰の匂いと白い埃、希望を求めて人々はほこりを巻きちらし穴を掘り続けた。
その営みの中、少女が産まれた。
貧しい家族にとってそれは望まれていない生命であった。
ある日、炭鉱と売春宿のオーナーであるモトヤマが連れてきたのは、7歳のその少女だった。

「イチカです。何も知りません。色々教えてください。」

少女は教えられた通りに言葉を発した。
炭鉱夫たちは金を払い少女で自身を慰める。
少女はモトヤマの息子のヒロトと出会う。
彼の読む物語を通して、イチカは世界を知って行く。
彼女の持つ信念を通して、ヒロトは自分を知って行く。
運命を受け入れる少女と、運命を壊したい少年の心は、どこに答えを見つけるのだろうか...

「大人って寂しいのよ。だから近くの誰かを求めるの。
でも子供はそんなこと必要ないの。だって一人じゃないってことを知っているから」

NEWS

Twitter