公演 『インティマシーコーディネーター』(新潮社「波」エッセイ)
作・朗読 髙嶋政伸



『ソロキャンプ』
作・髙嶋政伸
仕掛け人
文・髙嶋政伸/美咲・福山智可子/チェロ・坂本弘道
(両作品とも、暴力描写がございます為、R16での公演となります)

インティマシーコーディネーター 浅田智穂
日程・料金 ■2024年6月27日(木)・28日(金) 六本木アルフィー
Open 18:00 / 1st 19:00 / 2st 21:15 (上演時間1h30)
5000円(税込) お席は40席、入れ替え制です

◎電話予約のみ受付(17:00~24:00)
HP:https://alfie.tokyo/  電話:03-3479-2037

■2024年6月30日(日) 渋谷Body&Soul
Open 17:30 / 1st 18:30 / 2st 21:00 (上演時間1h30)
5000円(税込) お席は70席、入れ替え制です

◎下記メールフォームから予約受付
https://www.bodyandsoul.co.jp/event/240630#content1top
HP:https://www.bodyandsoul.co.jp/  電話:03-6455-0088

※チケット、ご飲食は現金のみのご対応となります。
イントロダクション 『ソロキャンプ』

女性ユーチューバーのソロキャンプが、得体の知れない男の侵入により、恐怖のソロキャンプに変わる、髙嶋政伸オリジナルの戦慄のホラー作品。主人公は、近年、クリント・イーストウッドの新作「Juror #2」など、ハリウッドで活躍する福山智可子が演じる。
共演は、チェロ・坂本弘道、男を髙嶋政伸。
R16での上演となります。

スタッフ 金子こうじろう(director)
仲宗根久乃(assistant producer)
佐々木瑠璃菜(production assistant)

Special thanks:
toho-ent
秋元大吾(chief manager)
武富舜(new manager)
かの地から しーまん(キャンプとかするYouTuber)


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『first light』

〈インティマシーコーディネーター 浅田智穂×俳優 髙嶋政伸〉

髙嶋:リーディングセッションにご参加くださいまして、本当にありがとうございます。今回は、「波」のエッセイ『インティマシーコーディネーター』も読みますが、主に、自作のホラー作品『ソロキャンプ』のコーディネートをお願いさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

浅田:『波』に書いてくださったエッセイが、本当にたくさんの方に読まれていて、やはりそれが初めて「男性の俳優+加害者側の立場の演者さん」からのお話っていうのが物凄い影響力だったんですね。たくさんの方から読みましたと連絡をいただいていて、今まで、インティマシーコーディネーターについて理解していたと思ってた方たちも「あ、女性だけじゃないんだ、被害者だけじゃないんだ」っていう新しい視点を書いてくださって、本当にありがとうございます。

髙嶋:そう言ってくださると、本当に嬉しいです。僕は暴行する役が多いので、
例えば、別の作品でも、前々日とかにその俳優さん(女優さん)と、たまたま軽いシーンで会ったりなんかすると、あきらかに、僕に怯えているのがわかるんですよ。
その日の夜に、大体僕は、文章…すぐに手紙書く人間なので、プロデューサーに「今日お会いしたんですが、なんか、ちょっとこう、不安な感じがします」と僕のマネージャー経由でメールを送ります。
本来だったらインティマシーコーディネーターさんという方がいらっしゃるんだけど、今回いらっしゃらないので、(女優さんは)「出来ます」っておっしゃるかもしれないけれど、お聞きしたところ、20歳だとおっしゃっていて、こっちは56歳で、周りはみんな大人じゃないですか。
どういうふうにすればちゃんとした「声」とかっていうのを聞くことが出来るのかっていうのを、僕自身は知りたいし、そういう現場にならないと僕もやりづらい、というのをプロデューサーさんに送ると同時に、その女優さんの会社の社長さんにも、そのまま送ってもらうんですよ。
髙嶋さんこんなメール書いてたらしいよ、みたいな、たまたまそれがこっちに来ちゃったって感じで、それがそちらの女優さんというか、そちら側に伝わると「あ、政伸さん、こんな風に考えていたんだ」って、それで、少しでも安心してくださると、こちらも安心できます。

ビジュアル

浅田:そうですね、やっぱり日本の監督の中には、お芝居ではないというか、もっとリアルを求めてる方もいらっしゃいます。でもやっぱり、これはお芝居であると割り切っていただいて、そのシーンで、どれだけその役になれてそのお芝居ができるかっていうところが、本当のエンターテイメントだと思っていて、その数日前にちょっと会ったときに怯えられてるっていうと、お互いに萎縮してしまったり、不安になってしまったら、実際それは一緒にお芝居する時に影響してしまうと思うので、改善すべき点があるのでは、と思います。

髙嶋:やるこちら側としても怯えている方を、さらに怯えさせるって、ちょっと、厳しいものがあります。やっぱり、仕事は楽しくやるもんだ、と。
あと、こういう事言うのも、ちょっと、間違っていたら申し訳ないんですけど、一番最初に浅田さんとお会いした時に、なんとなく、浅田さんがご不安というか、ちょっと変な言い方ですけど、僕を前にして少し怯えてらっしゃるように感じたんですね。それを見て、これはいけない、と思ったんですよ、こちらがインティマシーコーディネーターさんを入れて欲しいって言って、ようやくお会いできた時に、なんて言うんですかね、壁じゃないですけど、 相当もしかして、普段酷い扱いじゃないですけど、これ別に、誰かを批判してる訳でもなんでもないんですけど、そういうご経験をされたんじゃないかと思ってお聞きしたら、あります、と。

浅田:はい、それはありますね。

髙嶋:結構「煙たがられた」って言うお話をその時聞いて、これはちょっといけないなと思ったんですよ、それもあって、『インティマシーコーディネーター』のエッセイも、記録として残さないといけない、と思って書きました。

浅田:そうだったんですね。すみません(笑)。でも、初めてお会いしたの時に政伸さんが感じられたことは事実だと思います。 政伸さんが仰った通り、俳優さんの中には、やっぱりインティマシーコーディネーターをそもそも良く思われてない方もいらっしゃるので、私がお願いすることやリクエストすることを受け入れていただけるという確証はどこにもないんです。ただ、政伸さんはお話ししてすぐに大丈夫だなと、思いました。

髙嶋:だから、本当になんて言うか、正しく伝えないといけない、と、あのエッセイは、体験したままを、時系列でそのまま書きました。

浅田:その本当に「正しい」っていうところはとても大切ですし、感謝します。

髙嶋:つまり、インティマシーコーディネーターさんは、そんな怖くやったら、怖がるから、その表現やめてください、とかおっしゃるわけじゃない。

浅田:じゃないです、じゃないです。

髙嶋:どうすれば、迫真の演技というものを、まぁ仕事は楽しくやるもんだってさっき言いましたけど、やっぱりやっている時もやりがいを感じながらやれて、終わった後に、お疲れ様、良いシーンになって良かったねっていう、お互いに本音で言い合えるか、つまり、一つの作品を作る仲間なわけですから、そこら辺の一体感っていうのはあると嬉しいです。もちろん、基本は、やっぱり役者は、っていうと、そういうふうに一括りにするのは僕は好きじゃないんですが、現場にいる役者は皆、ライバルですよね。もちろん共存共栄は大事ですが、積極的に相手に勝つ、という気持ちは持たないといけない、と僕は思うんです。でも、その中でやっぱり、自分らの実力を存分に出して、やり合ったことによって見えてくるものってあるし、生まれてくる絆ってあると思うんです。殺陣のシーンでも、それはあります。先日も、アクション映画をやらせて頂いたんですが、スタントマンの方との密な話し合いとか、何度も稽古やったりとか、自分で「ここはちょっと不安なんです、腰痛めちゃうかもしれない」とか言い合える関係になれる事によって、じゃあここは例えばスタントマン入れましょうとか、ここはご本人でとかって、上手くやってくださって、何かこう、いいもんできたって感じしたんですよ。それこそ、監督、プロデューサー、役者、スタントチームみんなでアイデアだして。こちらも、僕の人生での得難い経験になりました。スタントマンの方って、映画の中で、決してお顔は見えないけれど、いらっしゃらなかったら成り立たないんですよね。その時に、改めて「本当に大切なものは目に見えない」って、思いました。

浅田:自分が許容範囲以上のスタントを求められたら、そこ自体が不安になってしまって、お芝居に集中できないと思うんですね。
でも、自分ができる範囲のアクションしかしなくていい、自分が不安なところはスタントマンに任せられるってなったら、お芝居に集中して、そちらに向けられる気持ちが大きくなったら、パフォーマンスが全然違ってくると思います。

髙嶋:そうなんですよ。できるところに特化することによって、最高の芝居ができる環境が生まれる。

浅田:それでいうと私はこの間エッセイには多分書かれてなかったんですけれど、大奥のあのシーンの時に、カットかかったら政伸さん、隣の部屋とか部屋の隅に行かれて、彼女の目に入らないとこにいつも移動されてたんですよ。
現場はピリピリすることなく、和やかでしたが、それでもカットがかかったら彼女の目に入るところに居ないっていうのが、さすがだなと思いました。それこそ本当に、そのお芝居、そのカット撮影のとき以外は、近くに居てニコニコしているのではなくて「ちょっと視野から外れる」っていうところが、さすがだなと思いました。

髙嶋:まぁあと…チェック…がね、ありますでしょ。僕あれ、苦手なんですよ。自分の芝居をモニターでチェックするのって大体どっか行っちゃうんですよ(笑)

浅田:そうなんですね(笑)

髙嶋:でも、そうですね、終わった後は、あんまり近くにいてもね、俳優さんも気持ちを変えていかないといけないでしょうし、ていうのはありました。
実はあのエッセイは3倍くらいあったんですよ。それを新潮社の方と、とにかく的確に伝えないといけない、と話し合いながら、数ヶ月かけて、3分の1にまとめました。

浅田:すごいちょうどいい長さでした(笑)

髙嶋:ありがとうございます。

浅田:いえいえ、こちらこそありがとうございます。需要は増えてはいるんですが、まだまだなので。やっぱり本当に今回、その「女性」だったり、「加害される側」「被害者」が守られるって思ってたところが、(反対側もあると)一気に今回のエッセイで広まったので、より正しい形で、需要が増えるといいと思っています。
私はそれこそ、ここで2拍待ってから歩いてくださいとか、そこで止まって振り向いて涙を流してくださいっていうことが、感情とともにできる役者さんが、じゃあ性的なシーンになって、ここまでですよ、っていうことを止められないってのは分からないんですね。そこは難しくても、コントロールをする、コントロールできるのが役者さんだと私は思っているので、そこのお手伝いというか、本当にその安心できる範囲で、許容範囲の中でコントロールしながら、でもそれでもご自分のお芝居がしっかりできるようにっていうところかな、と思いますね。

髙嶋:本番は、ほぼ段取りですからね。セリフ、動き、カメラワーク、もちろん照明もその段取りに合わせてセッティングされる訳だから。ただその中で本当に、0.001ぐらい、ふっと髙嶋政伸から別の人間になれる瞬間ってあるんですね。その0.001があるから、今までやれてるようなもんなんですよ。もちろん、僕は、なんですが、その0.001は、厳密な段取りと、稽古の中でしか生まれないと思います。

浅田:0.001よりもっと多いと思いますけど(笑)、でもそういうことなんですよね、そこにどうやって気持ちを乗せて、芝居の現場を円滑に進めるようにするかっていう。
別に何か表現を止めるわけではなく、もちろん、社会的メッセージとして何か間違ったものがあれば、それをお伝えすることもあるんですけど「激しいから駄目」とかそういうことではないんですよね。
今回の朗読のお話しになりますけど、やっぱり触れない、露出もないっていう中で、逆に、読むというシンプルな表現だからこそ、演者も観客も精神的にすごく追い詰められる可能性がある。そこをちょっと気をつけていかないと本当に、役者さんもですが、お客様にも過度な精神的ショックが発生する可能性とかも出てくるなと思って。

髙嶋:ジャズクラブというタイトな場所で、今回の様なホラー作品だと、その可能性は、大いにありますね。その辺をぜひ教えてください。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

『second light』


髙嶋:さて、今回のリーディングセッションなんですが、朗読は「声」が表現の殆どを占めます。ですから、暴力描写がある作品を朗読する時は、やっぱり、言葉の暴力が、下手するとフィクションを悪い意味で逸脱してしまうんじゃないか、と感じています。1995年から、リーディングセッションはジャズクラブを主な活動の「場」にしている為、ステージと客席が一体化してまして、勿論、三密は避けますが、役者は、椅子に座って朗読するので、同じ目線のお客様に囲まれる形で他者を演じますし、お客様にとっては、自分達が座っている客席に役者がいる、という形での観劇になるわけで。その関係性で、役者は、かつて受けた暴力の記憶を吐露したり、殺人鬼に追われたり、とかのシーンを朗読する。
今回の朗読会は、夏の名画座とか、テレビの深夜番組のホラー映画を、ポップコーン食べながら観る様な感覚で楽しんでいただけたらと思うのですが、どうなんでしょうか…。

浅田:この作品が演じられる、読まれる環境というのももちろん大事ですけれど、これはお客様の体験としては通常の舞台や映画よりも、より濃厚で刺激的なものになる可能性があります。それは、お客様のイマジネーションに任せる部分が大きいからです。今回、R16で指定されてるんですが、それこそ本当に「つらくなったらいつでも退場できること」を事前にアナウンスして、そういった行為が大丈夫ですよっていうことをお伝えしておくと、お客さんは安心かと思います。今回やっぱりその、ソロキャンプのポスターを見たり、R16と聞くと、何かそういう恐怖的なものがあるんだろうと思ってお客さんはいらっしゃると思います。今回の内容が、何か、どこかで、お客様の過去の経験と結びついて、トラウマを引き起こしてしまうようなことがゼロではないと思うんですよね。そういう時にも安心して退出できるような環境とか、そういうのはやっぱり大事だなと思います。

髙嶋:確かに、ご気分を害されたまま退出できず、観続けるしかなかったお客様もおられたかもしれないですね、今、リーディングセッションの歴史を振り返ってみると。

浅田:だとしたらもう、やはり、一言、気分が悪くなったら、いつでも退出できる、と、いうことをお伝えすればお客様は安心すると思うんですね。

髙嶋:僕も今お聞きしてちょっと安心できました、自由に退出して結構ですっていう、事前のアナウンスですね。それ、必要ですね。

浅田:映画館で退出することはそんなに難しくないですし、家で映画やテレビを見ている時も、いつでも止められますよね。でも、ある意味、舞台や朗読ってやっぱり退出しづらいと思うんです。ライブ感というか、その雰囲気を壊してしまう気がして。
なので、そこは当日の雰囲気というのもあると思うんですけど、一言、気分が悪くなられたりしたら、ご自由に退出してくださいってお伝えすることで、多分お客様はちょっとほっとすると思います。あとは会場の照明とか、舞台と客席の距離感で、このストーリーを演じる役者さんが、目の前にいる人とたまたま目が合ってしまった時に、その目が、常に物語の中で登場人物をじっと見ている暴漢とかに見えてしまわないか、とか、そういうところもやっぱり気にしないといけない。
撮影だと、そもそもそういう環境はないじゃないですか、部外者と目が合う環境ってまずない。あと舞台も基本的に客席と舞台と分かれているので。もちろん目が合うことはあっても、その空間がやっぱり分かれています。でも今回のリーディングセッションは、客席と舞台の空間が同じということで、何か圧が、圧というか、何か精神的負担を役者が感じる可能性はゼロじゃないなと思っていて。

髙嶋:本番は、すごく近くから皆さん観てるわけですからね。

浅田:その作り上げていた、その舞台上の親密な関係が、誰かと目が会うことで、今度その2人の関係になってしまう可能性なども怖いなと思います。 なので、やっぱり、顔を上げた時に、あそこを見れば、基本、お客様と目が合わないとか、そういう場所を作っておくのも。

髙嶋:なるほど、目線の場所ですね。

浅田:今回のサイズの箱でこの距離感で、どうしてもやっぱり影響はゼロじゃないと思うんですよね。それが面白い部分もあると思うんです。それがライブ感であったり臨場感という。でも、台本とはまた別の意味の、この朗読劇を行う空間の上で考えなきゃいけないことですよね。それは撮影空間と同じで、安全にしたいなと思います。

髙嶋:主催者として、出演してくださる役者さんも、安心して演技に集中してもらえるのが、1番ですから。

浅田:そうですね。私も台本を読んだときに凄く怖かったのと、予想外の展開だったので。

髙嶋:今回、コーディネーターとして、アドバイスしてくださる事を整理させていただきますと、まず、事前のアナウンスとして、いつでも退場できますよっていうこと、あと目線ですね、なるべくお客様と合わないようにする。例えば会場にある柱に、小さな黒いシールを貼って、役者はここを見る、とか。そういうようなことから、まず始めていく事ですよね。

浅田:そうですね。今回は朗読中、役者さんは、演じる上で、虚構と現実の境目を行ったり来たりすると思うんですが、それを演じる上で、何か困難なことがあったとき「止まっていい」っていう、選択肢を与えてあげるっていうのもちょっと大切かなと思います。
何かこう、自分の中でちょっと落ち着かないと、次のセリフに行けないっていうこともありえると思います。共演者とは隣同士に座っていて、目を合わせるとこも触れることもないという状況では、自分だけの世界になってしまう可能性もあります。今回は、動きもない、セットもない、小道具もない、そのような状況で、演じることを続けることは、ある意味逃げ場がないと思うんです。台本上ではポンポンといくようになっているセリフでも、なかなかそうもいかない感情になってしまうこともあるかもしれません。必要以上に、あれ?どうしちゃったの?って思うぐらいの間だとしても、それは役者同士、それが許されているとかそういうことは大切かなと思います。

ビジュアル

髙嶋:止まって、沈黙になってしまう時間って、朗読会という「声」の表現の場だと、例え、1分の沈黙だとしても、凄まじい感じになります。それに耐えられずに、気分が悪くなる方もおられると思いますし、役者側も、僕も含めてパニックになる可能性もありますね。でも、役者同士だけでも、しっかりと、その時間があってもいいんだよ、と話し合っていれば、役者もお客様も雰囲気として、安心できるかもしれませんし、
逆に、上手くいけば、観る側にとっても演る側にとっても、滅多に味わえない、良い意味でのスリリングな時間になったりするかもしれないですね。

浅田:はい、そういうことが許されているっていうこと演出上で許されていることが、みんなの負担を減らして、役者さんも、お芝居をすることに集中できて、お客様も演出だな、として楽しめる。
あとは、自分の間でお芝居していいんだっていうことって、すごく、いろんな心配事が減っていくと思うので、そういった環境と、それが本当に安心感に繋がると思います。

髙嶋:その辺ですよね。役者も存分に実力を発揮でき、お客様も、暴力を伴うホラー作品の観劇を安心して楽しめる流れをつくれるのは。

浅田:そうですね、だからちっちゃいことですけど、テクニックとして目を合わさないとか、目を合わせるんだったらもう、1人ではなくて、たくさんの人の顔を見るとか、そうしないと役者さんもやりづらくなってしまうと思いますし、お客様も単純に楽しめなくなってしまう。

髙嶋:それは、避けたいですね。

浅田:あとは演出で、そもそも何か接触したりっていうことがないので、逆にその言葉の暴力がどこまで役者と観客に刺さってしまうかっていうとこだと思うんですよね。それが、皆さんが全然大丈夫なタイプなのかその辺もちょっと、はい。

髙嶋:僕は、今回の創作の元になった、女性ソロキャンパーが見知らぬ男に暴行されたニュースを見て、実際にこんな事件が起きるのか、こんな事をする人間がいるのかと、恐怖を感じました。それで、小説を書こうと思って、色々調べたんですが、人間って賢くなるのって多分、脳の容量に限りがあると思うんですが、愚かになるのって、多分無限になれるんだなっていうのを、そういう事件を起こした人を研究すると見えてくるんですよね。
ですから、どっかに僕は「人類への根源的な嫌悪感」みたいなのがあるのかもしれない、と思う時がありまして。だから、小説を書く時は一貫して「善人にも災難は降りかかる」というテーマに行き着いてしまうんです。
どんなに明るい中でも絶対に暗いものがあるはずだと、それをなんとか、見つけようとするんだと。ちょっと、脱線しましたね。

浅田:いえ(笑)

髙嶋:だから今回も、僕の言うセリフとかも、人間って、こんなに悪趣味で、下劣な言葉を言うんだ、みたいなところは出せればいいなと思うんです。思うんですが、しかし、いざ、リーディングセッションという「場」で、実際にやったら、どうなるのか不安がありました。でも先程からお聞きした演出の中での活かし方とかもだんだんわかってきまして、それでやれるんじゃないかなと、おかげさまで安心してきました。ありがとうございます。改めまして、今回、よろしくお願いします。

浅田:はい、よろしくお願いします。とっても楽しみです。