INTRODUCTION
−途方もない数の人生の点滅。年の終わりふと人は立ち止まり物思いに耽る。
初雪が観測された東京、突如として閉じ込められた、ある四人の人生−
【あらすじ】
人間には108コの煩悩があるらしい。
人間は欲求が満たされても、苦しまなくなることはないらしい。
欲しいものが手に入っても、満たされないらしい。
それは、煩悩があるからなんだそうだ。
煩悩とは自分自身を苦しめる心のこと。
だから一年の終わりに、鐘を鳴らして煩悩を祓おうとする。
来年は、苦しむことがないように願いを込めて。
あるところに四人の人間がいました。
彼らの人生は突如として一つの空間に閉じ込められました。
それが始まりでした。
人は誰でも罪を感じ、抱えているものがある。
その四人の人間も例外ではない。
物語は、寒い冬。
一年の終わりに奇妙なつながりを通じてドタバタと幕を開ける。
男たちは掘り始める。
何もない空洞を。
空っぽに感じるその人生を。
空いた穴を塞がなくちゃ。
必死に言葉を発する。
それを埋めたとき、未来が見えるかもわからないままに。
これを見なきゃ年は越せない!・・・わけではないですが、
師走の東京で、一年を締め括れる作品をお届けします。
また新しい一年の始まりへ向かって。
【ステートメント】
劇団員4人での初めての公演です。
そして初めて東京都内三箇所の劇場で公演をします。
作品は約3年間、俳優たちの膨大な声と言葉を聞き続け、毎回私が作った点と役者のエチュードで作った線を繋げて作品にしてきた、舞台『いい人間の教科書。』(以下、イイショ)をもとに、初めて全編戯曲として0から創作し書き下ろしたものになる予定です。
役者が変われば線が変わり結末が変わる、私にとって役者と強く繋がる大切な作品です。それはそれでとても楽しいのですが、一度戯曲にしてみようと思いました。いわば若者の声を聞き続けた集大成です。
どうなるかはまだわかりません。今までやってきたイイショとは全く違うものになるかもしれません。構想の段階では全く違うものになっています。劇団員にとっても私にとっても劇団にとっても、挑戦の作品になります。
アレン座を応援してくださっている方には新鮮に感じてもらえると思います。初めましての方にはアレン座を知ってもらうきっかけになれば嬉しいです。
-演出・脚本 鈴木茉美-