INTRODUCTION
-第三の戦前と呼ばれる現代、歴史は繰り返されるのか?-かつて、世界が破滅へと突き進んだ時代があった。
ー1925年、第一次世界大戦の傷跡が癒えぬまま、世界は平和への希望に満ち溢れていた。
しかし、その一時の平和な日常の裏側では、見えざる不安と緊張が渦巻き、戦争という巨大な影が次第に忍び寄っていた。
ーそして現代、私たちの時代はその瞬間に酷似している。情報が過剰に溢れ、テクノロジーの進化が止まることなく、しかし心の中には漠然とした不安が広がる。まるで100年前の戦前を繰り返すかのように、私たちの社会は揺らぎ、崩れかけているのではないか?
『1925→2025』は、歴史の流れに逆らいながら、その波を鋭く見つめる物語。100年という時間を越え、社会の変化と人々の心の葛藤を鮮やかに描く、壮大な叙事詩。
演出家・鈴木茉美は、過去と現代の鏡映しとなる瞬間を紡ぎ出し、そこに生きる人間の喜び、悲しみ、そして未来への希望を浮かび上がらせる。
技術革新と情報の洪水の中で、私たちが見失いつつあるもの。それは、時代の渦の中でも変わらない「人間らしさ」だ。鈴木茉美の舞台は、それが再び光を取り戻す場所であり、歴史と現在を繋ぐ架け橋として私たちに問いかける。 第三の戦前と呼ばれる今、私たちはどこへ向かうのか。その答えは、舞台の上で紡がれる物語の中にある。
鈴木茉美が挑む『1925→2025』――それは、100年の時の流れを通じて、私たちに問いかける未来へのメッセージであり、新たな夜明けを告げる芸術の一撃である。新たな時代の胎動を感じる旅へと、私たちは誘れる。
出演者は、第27回読売演劇大賞・優秀女優賞を受賞した枝元萌が主演。第48回紀伊國屋演劇賞・個人賞を受賞した林田麻里が共演する。
そして、劇団員の來河侑希、竹中凌平、栗田学武に加え、関西演劇賞でアクター賞などを受賞し、関西の演劇シーンで活躍する尾形大吾、北海道で活躍するボーイズユニットNORDのメンバー安保卓城、文学座の池田倫太朗、円企画所属のベテラン・荒川大三朗、人気作に出演を続ける若手実力派の甲斐千尋、
元宝塚歌劇団の澄華あまね、アジール街に集う子たちで衝撃の舞台デビューを迎えた雪村花鈴 、劇団アレン座公演常連の桜彩や伊藤静流、300人を超えるオーディションの中から選出された、近澤智、のの他実力派俳優が揃う。
また、土岐研一が劇団アレン座の舞台美術を担当する。
歴史の奔流の中で揺れ動く人間たちの感情が、舞台全体を震わせるような圧倒的なエネルギーが舞台上で展開され息を呑む。
現状に安住せず、鈴木茉美が新たに挑む今作は、まさに「次なる一手」を打ち出し、演劇界に新たな潮流を巻き起こす。
100年という時の流れの中で変わり続ける世界に対峙しながら。